海外のリーダーは雑談がうまい。自然にプライベートな話に持っていき距離を縮める。本題の入り口として、あるいは人間関係を深めるため、雑談を重視している-。著書「世界最高の話し方」で岡本純子さんが書いている
▼読売新聞記者として新潟市や長岡市で勤務した経験があり、今は企業幹部にスピーチの仕方を教えている岡本さん。うまく雑談する秘訣(ひけつ)は、質問することだと説く。具体的には「ど」の付く質問をすればいいという
▼どう思う? どこの出身? 調子はどう? 聞き上手になり、自分の話は時々する程度に抑える。それが相手に好印象を残す雑談マスターへの道だと唱えている
▼感染禍にあって、その雑談の場がなくなってしまった昨今だ。離れて暮らす家族とも、近くの親友ともなかなか会えない。リモートワークで同僚の顔を見る時間も減った。独りぼっちのランチも増えた。雑談の最たる場である飲み会もない
▼雑談から仕事のアイデアが生まれることはよくある。雑談しながら悩みを聞いてもらうことで気が楽になることもある。茶飲み話で愚痴を言い合い、ちょっとしたストレスが解消される。失って分かる雑談の効用だ。オンラインの画面越しでは、会議はできても雑談は難しい
▼「とりとめのない会話」。雑談を辞書で引くとそうある。感染禍が収束したあかつきには思う存分、とりとめのない会話を楽しみたい。久しぶり、どう過ごしていたの? そんな質問から入ろうか。もう少しの我慢。春も近い。