ウクライナ生まれのその作家は、市井の人々の小さな声を丹念に拾い、一人称の独白形式で表現する手法を得意とする。
2015年にノーベル文学賞を受賞したスベトラーナ・アレクシエービッチ氏。原発事故の処理に当たった人や地元住民らの証言を記録した代表作「チェルノブイリの祈り」などで知られる。
1985年に出版した「戦争は女の顔をしていない」は、第2次世界大戦中、ソ連軍に従軍した女性約500人の証言を集めた。旧ソ連地域では100万人近くの女性が従軍したとされる。
「ベニヤの標的は撃ったけど生きた人間を撃つのは難しかった」-。狙撃兵として前線に出た女性らの生々しい体験が、平易な言葉でつづられていく。
旧ソ...
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