あすから3月。卒業シーズンを迎える。恩師、友人との出会いを振り返る。親に感謝する気持ちも湧いてくるかもしれない。自分が来た道と、これからを思う季節である

▼先祖がいて親がいて、自分がいる。先日の本紙記事から、命のつながりを改めて考えさせられた。戦争が終わって76年、新発田市の女性が亡き祖父の戦中の足跡をたどった。赴いた戦地などが記された兵籍簿を取り寄せて調べたという。乗っていた輸送船が敵の潜水艦から魚雷攻撃を受けて沈没したが、祖父はその後インドネシアの島に上陸し、終戦を迎えた

▼もし祖父が生き残ることができなかったら、自分も子どももこの世にはいなかった。祖母から聞いた祖父の従軍経験を記録でも確かめた女性は、戦争の悲惨さや命の大切さを伝えていくという

▼女性の話を読み、全ての命の誕生は奇跡だと心から思った。親の身として、よその子もいとしい。だから連日のように報じられる虐待事件に言葉を失う。鍋の中に長時間立たせる。布団でぐるぐる巻きにする。交際相手に会いに行き、幼子を1週間も自宅に置き去りにして衰弱死させた親もいる

▼親自ら手を下したり、パートナーの暴行を止められなかったり。残忍な所業の根を断ち切るには、加害者側の背景や心の闇に迫らなければならない

▼今まさに理不尽な目に遭っている子どももいるかもしれない。不安を感じるケースに一つ一つ丁寧に対応していく必要がある。多くの奇跡があって生まれた命を守らなければ。

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