自国優先の身勝手な論理で多くの命を奪い、地域の平和と国際秩序を踏みにじる非道は断じて許さない。その揺るぎない決意が示された。

 ロシアがウクライナに侵攻して1週間が過ぎ、民間人や兵士の犠牲者が急増している。主要インフラも破壊されるなど、被害は日に日に拡大している。

 国際社会はさらに結束を強め、これ以上の武力行使をやめさせなければならない。

 バイデン米大統領が1日、就任後初の一般教書演説を行った。ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領を呼び捨てで非難、「独裁者に侵略の代償を払わせなければ、さらなる混乱を引き起こす」と強調した。

 ウクライナ危機を「民主主義と専制主義の闘い」と位置付け、ロシアに圧力を加える国際包囲網構築の決意を表明した。

 一般教書演説は、内政や経済に関する内容が大部分を占めるのが通例だが、バイデン氏は冒頭から多くの時間をウクライナ問題に割いた。

 バイデン氏は自由と民主主義の旗振り役を自認する。ウクライナ問題で何を言うか世界が注目していたはずで、力を入れたのは当然だ。

 バイデン氏は、ロシアがウクライナに侵攻する前から危機が迫っていることを訴え、侵攻後は数々の経済制裁を打ち出した。国際社会に結束を呼び掛けることで対抗姿勢を改めて鮮明にしたといえる。

 現状では、ロシアの強硬姿勢を変えるまでには至っていない。ウクライナを支え、即時停戦を促すには、米国が指導力を発揮し、ロシア包囲網を強化していくことが欠かせない。

 一方、国連総会は2日、ロシアによるウクライナ侵攻を巡る緊急特別会合で、ロシアを非難しウクライナからの無条件での即時撤退を求める決議案を賛成多数で採択した。

 決議案は日本も共同提案国として加わった。加盟193カ国のうち賛成は141カ国に上る。ロシアの国際的な孤立が浮き彫りになった意味は大きい。

 総会決議には法的拘束力はないが、ロシアは国連の常任理事国として国際社会の総意を重く受け止め、速やかに決議に従うべきだ。

 国連も粘り強くロシアに停戦を働き掛ける必要がある。

 採択ではロシアの他にベラルーシや北朝鮮などが反対し、中国やインドは棄権した。

 覇権主義を強めるロシアと中国の接近には注意が必要だ。台湾有事や北朝鮮の動向に影響する恐れがある。

 岸田文雄首相はロシアを強く批判し、米欧とともにロシア中央銀行との取引を中止するなど経済制裁を強化している。

 さらなる制裁措置も検討しており、各国と連携し効果的な手だてを講じるべきだ。

 首相は、多くのウクライナ人がロシアの攻撃から国外に逃げている状況を受け、避難民を受け入れる方針を表明した。速やかに態勢を整え、人道支援に力を入れてほしい。