新聞1面の上の欄外にある小さな数字をご存じだろうか。

 創刊以来の発行号数を刻む「紙齢」という。毎日紙面を作り、読者に届ける新聞人にとっては特別な意味を持つ。

 2011年3月11日、紙齢の重みを強く感じる、忘れられないシーンがあった。

 東北地方をエリアとする河北新報社(本社仙台市)が東日本大震災で被災し、新聞が作れなくなった。緊急時に相互支援する協定に基づき、新潟日報社の整理部が河北新報を作ることになった。

 驚いたのは当日夜遅く、河北新報の担当者が急きょ新潟まで駆け付け、日報社員と共に紙面製作に携わっている姿を見た時だ。

 震災の大混乱の中、「どうやって、ここまでたどりついたのだろう」と信じられ...

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