オリンピックのシンボルマークは日本語訳の通り五つの輪である。これに対し、パラリンピックのそれは赤、青、緑で彩られた、三つの三日月のような曲線で構成される。「スリーアギトス」と呼ばれる

▼「アギト」とはラテン語で「私は動く」を意味する。困難に直面しても諦めず、限界に挑戦し続けるパラアスリートの姿を象徴している。三つの曲線が寄り添う様子は世界各地から選手が集まり、競い合うことを意味するそうだ。赤、青、緑の3色は、数多くの国や地域の旗に使われていることから採用された

▼北京パラリンピックが今夜、開会式を迎える。ウクライナでの戦火に世界が沈痛な思いを抱く中での開催となる。五輪と並ぶ「平和の祭典」をよそに、多くの人命が失われる戦争が続いていることは痛恨の極みである

▼国外で事前合宿していたウクライナの選手団は、母国の平和を願って参加すると表明した。惨禍にさらされる家族や友人を故郷に残す選手たちはどれほどの重荷を背負って競技に臨むのか

▼昨夏から、東京五輪、東京パラ、北京冬季五輪とスポーツの祭典が立て続けに開かれてきた。躍動する選手の姿を見るたびに、人間の持つ可能性に目を見張った。限界に挑む尊さに心を揺さぶられてきた

▼北京パラには、本県からノルディックスキー立位の出来島桃子選手が5大会連続出場を果たす。世界が極めて困難な状況に置かれる中、スリーアギトスに込められた「諦めず、挑戦する姿」を私たちも忘れずにいたい。

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