「見たくないもの、都合の悪いことは見えないものである」

 2011年に起きた東京電力福島第1原発事故の原因を調べた政府事故調査・検証委員会の畑村洋太郎委員長は12年、最終報告書の結びで、こう所感を記した。報告書を政府に提出した後の記者会見でも同様のことを強調していた。

 東電は事故前、原発の津波対策や全電源喪失対策を十分に備えていなかった。「失敗学」で知られる畑村氏は、そこに冒頭で記したような心理が影響したとみる。

 10年も前の指摘を思い出したのは、ウクライナで運転中の原発がロシアから攻撃を受けたからだ。

 原発が戦争時に武力攻撃の標的になる。これは、原発に関わる人々にとって「見たくないもの、都合...

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