その会社の新発田工場にお邪魔したのは今年1月だった。県内の小学生に務めてもらう「子ども記者」と一緒に、せんべいを作るラインや工程をチェックする従業員の様子を取材した。「感謝して食べたい」。子ども記者の原稿には、こんな言葉がつづられた

▼消費者、取引先、そして会社と社員。これら「三つの幸せ」の実現を、ポリシーに掲げてきた会社である。製品は口にする人を笑顔にしてきた。その会社、三幸製菓の荒川工場で大きな火災が発生してから1カ月がたった

▼首をかしげざるを得ないのはいまだに記者会見など公の場で火災に関する説明がないことだ。なぜ、6人の命が失われなければならなかったか。防災体制はどうだったのか。疑問は山積みのままになっている

▼もちろん、不備を洗い出し、再発防止の道筋を描くには時間もかかるだろう。同社は火災発生後3カ月の間、安全性を確認するために全工場の稼働を停止している

▼しかし、地元の住民が多く働き、県内をはじめ全国に製品を送り出してきた。新潟を代表する企業の一つである。遺族も深い悲しみに包まれている。しっかりと説明する責任があるのではないか

▼買い手が喜び、売り手が潤う。社会にも貢献する。売り手、買い手、世間の「三方よし」である。近江商人の心得は、今も古びない経営の基本姿勢だろう。三幸製菓の企業理念とも重なる。世間の厳しい目から逃げることなく、米菓メーカーとしての誇りと信頼を取り戻す覚悟を見せてほしい。

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