米大リーグの大谷翔平選手は動物に縁があるのか。愛犬「デコピン」は有名になったが、本人はヤギと称されることがある。英語でヤギは「GOAT」。「Greatest Of All Time」、すなわち「史上最高」という言葉の頭文字を並べると、ヤギになるという寸法だ

▼伝説の一角獣「ユニコーン」や宇宙人にも例えられる。二刀流の規格外の活躍に、周囲の目には、人間の限界を超えた存在と映るのかもしれない。昨年は2度目のMVPに輝いた

▼年末にはエンゼルスからドジャースに移籍した。10年総額で7億ドル(約1千億円)の大型契約はスポーツ史上最高額だ。日本プロ野球選手会によれば全12球団約700人の年俸総額の3倍以上というから、また言葉を失う

▼英語は年々上達し、日常会話は問題ないようだ。スペイン語も操っている。同僚と笑顔で戯れる様子でよく分かる。なのに記者会見で通訳を介するのはなぜだろう

▼通訳の水原一平さんは公私にわたり支えになっており、当意即妙の意訳で大谷選手の意図を正確に伝える。発言が誤解されて広がれば、思わぬ反応も起きかねないだけに、一言に込めたニュアンスや微妙な意味合いを特に大切にしているはずだ

▼それもトップ選手ゆえの自覚であり、世界中で彼が愛される理由だろう。結婚も発表した。20日の開幕戦は、パドレスのダルビッシュ有選手と初対決になる。新天地でどんな驚きの瞬間を見せてくれるのか。今季の「ショータイム」が待ち遠しい。

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