通勤途中にある飲食店を目にすると胸が痛む。がんと闘い、55歳で亡くなった同期の橋本佳周記者とランチをした店だ。

 2年前の初夏だったか。治療や体調、好きだったプロ野球のことを話した記憶が残る。2人で会食した最後の場所になった。

 彼が永眠して20日で2カ月になる。天国で酒をじっくり味わい、ロックを楽しんでいるだろうか。紙面の闘病連載を一冊にまとめた「52歳記者のがん日記」を読み、最期まで命と向き合ったジャーナリストだったと改めて感じた。

 死は切なく、悲しい。

 海外では尊い命が次々に奪われている。ロシア軍によるウクライナ侵攻は目を覆うばかりだ。子どもまで犠牲になり、死者の数は報道されている以上だろ...

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