「佐渡島の金山」について審議した世界遺産委員会。日韓が合意し、全会一致で登録が決まった=7月27日、インド・ニューデリー
「佐渡島の金山」について審議した世界遺産委員会。日韓が合意し、全会一致で登録が決まった=7月27日、インド・ニューデリー

 7月27日に世界文化遺産1975年に発効した世界遺産条約に基づき、歴史的建造物や遺跡を対象にユネスコが人類共通の財産として登録する。国内では姫路城などが登録されている。世界遺産にはほかに、貴重な生態系などの自然遺産と、文化と自然の要素を併せ持つ複合遺産がある。登録の可否は世界遺産委員会が決める。への登録が決まった「佐渡島(さど)の金山「相川鶴子金銀山」と「西三川砂金山」の二つの鉱山遺跡で構成。17世紀には世界最大級の金の産出量を誇った。金の採取から精錬までを手工業で行っていた時代の遺構が残っているのは、世界的に例が少ないとされる。」で、登録の鍵を握ったのが戦時中の歴史を巡る日韓の交渉だ。日本は韓国が主張してきた「強制労働」という直接的な表現は避けつつ、朝鮮半島出身者がより厳しい環境で働いていたことを示す資料の展示で折り合った。背景には、日韓関係の改善を主導してきた首脳間の信頼があった。

 「韓国との見解の相違を友好的に解決する意欲を示すことを目的として、全ての労働者の過酷な労働環境を説明する」。7月27日にインド・ニューデリーで開かれた国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会で、佐渡金山の登録が決まった後、ユネスコ日本政府代表部の加納雄大大使は各国に...

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