巧みな色彩 夢の空間へ
新潟市新津美術館では、20世紀最大の画家のひとりマルク・シャガールの版画展を開催している。
シャガールは1887年、現在のベラルーシ共和国の街ヴィテブスクのユダヤ人家庭に生まれた。24歳の頃にパリに出て以降、キュビスムやフォービスムといった同時代の前衛運動に影響されながら、特定の流派には属さず独自の画風を確立していった。第1次大戦の際は、一時帰国のつもりだった故郷に8年間留め置かれ、美術学校で教えていた時期もあったが、同僚らと決裂して辞職。ベルリンを経由しフランスに戻るが、第2次大戦が勃発し、ナチス・ドイツの脅威から逃れるため、アメリカに亡命せざるをえなくなった。戦後は終生フランスを拠点に活...
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