パリを舞台にしたオリンピックとパラリンピックが幕を下ろした。いずれも多くの感動を与えてくれた。現地とは時差が7時間あった。日本では未明の試合が多く、寝不足になった方も多かっただろう

▼新型ウイルスの影響で無観客だった東京大会とは異なり、客席や沿道からの声援が選手を後押しした。本紙はパリ五輪に記者とカメラマンを派遣した。試合終了後に記者と話すと興奮冷めやらぬ口ぶりで、記事からも熱気が伝わってきた

▼歴史的建造物のグラン・パレがフェンシングの会場になるなど、パリならではの大会だった。新潟市西区出身で、フェンシング男子エペ団体の銀メダル獲得に貢献した古俣聖(あきら)選手も「すごい会場で試合ができて、本当に幸せだった」と話していた

▼課題の多い大会でもあった。特に問題となったのがインターネット上での選手に対する心ない言葉だ。国際オリンピック委員会は五輪期間中に8500件を超える誹謗(ひぼう)中傷の投稿が確認されたと発表した。パラリンピックでも問題は終わらなかった

▼トップ級の選手は、どうしても結果を求められる。帰国した古俣選手に五輪の印象を尋ねると、最初に出た言葉は「いろいろなプレッシャーから解放され、ほっとしました」だった

▼全身全霊で競技に打ち込み大きな重圧と戦う選手に、言葉の刃(やいば)を匿名で浴びせる。こうした行為には怒りやむなしさを覚える。「結果だけが全てではない」と言われて久しい。4年後は名実ともに、そんな大会であってほしい。

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