自然との遭遇 目輝かせ

 絵本作家・松岡達英氏の故郷であり、数々の絵本の舞台となった長岡(旧川口町)のアトリエを訪れたのは2019年のこと。草木の間いたるところから山菜が顔を出す季節で、田植えがちょうど終わった頃だった。その田んぼの片隅で、背中いっぱいに小さな卵を乗せたコオイムシを見つけた松岡氏が「子どもをおんぶしているからコオイムシっていうんだよ」と目を輝かせたことを今でも鮮明に覚えている。

 松岡氏の作る絵本では、どれも自然がいきいきと描き出されている。あまがえる先生のシリーズは、里山に暮らすカエルと昆虫たちの冒険物語。小さな生き物の目線に合わせて描かれた水辺の世界や暮らしぶりから、思いもかけないさまざまな発見があ...

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