
酢の物を盛り付ける弓削朋子さん。「スキー選手の頃は荘厳な風景の中で走るのが好きだった。料理人となった今も、雪の恵みに感謝です」と語った=十日町市駅通り
地域の食文化への貢献や地場食材を生かしたメニュー開発など、優れた料理とサービスを提供する料理人を顕彰する農林水産省の「料理マスターズ」ブロンズ賞に、新潟県十日町市の「十日町会席ゆげ」の店主、弓削(ゆげ)朋子さん(47)が選ばれた。県内で4人目。「食を通じ十日町の風土や文化を感じていただけたら」と日々研さんを積む。
十日町市出身で、大学まで距離スキーの選手だった。卒業後に料理の専門学校に進み、鎌倉や大阪、東京の日本料理店などで修業。出産で一時職を離れたが、地元に戻り2017年、農家レストラン「そばの郷Abuzaka」の店長・料理長に就任した。
地元の食材や文化に改めて触れたことで「厳選した素材で会席料理を味わい、十日町を楽しめる空間をつくりたい」と独立を決意。2021年、カウンターと個室で最大10席のこぢんまりとした店を開いた。
「女性が会席料理店のオーナーとなるのは無理だと思っていた。だが、それは自分で壁をつくっていただけだった」と話す。
吟味した県内食材を使い、8〜12品ほどのコース料理を提供する。旬の時期には山菜やキノコ、川魚やジビエ(野生鳥獣肉)に加え、雪に閉ざされる十日町ならではの保存食も扱い、...
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