
JEJアステージが各拠点に配備した電気自動車。災害時には建物内へ電気を供給できる=三条市西本成寺2
プラスチック製品製造のJEJアステージ(新潟県三条市西本成寺2)は、2004年の7・13水害で被災した経験を踏まえ、近年、拡大した自社の規模に合わせた災害時の対策を進めている。非常時の電源として活用できる電気自動車(EV)を県内外の拠点に配備するなど、いざという時の社員の安全安心を念頭に置く。
JEJ社は24年秋、新潟県と群馬、滋賀、福岡にある工場など各拠点にEV計7台と充電設備を配備した。普段は社用車に使用するが、災害時はEVを蓄電池として活用し、建物内に電気を供給できる。ガソリン不足時には物資運搬用とする。導入費用は計約3700万円。
総務部次長の船津忠彦さん(45)は「EVからの電気は冬場の暖房など、主に社員のために使うことを想定している」と説明。24年夏には各拠点の自動販売機の一部を災害時に無料で飲料を取り出せるタイプに切り替えた。
背景にあるのは、7・13水害の教訓だ。当時、前身会社の「ジェイ・イー・ジェイ」は、三条市の工場が1メートル超の浸水被害を受け、一部の社員が帰宅できずに工場で一晩を過ごした。それに加え、24年1月の能登半島地震など、近年は自然災害のリスクが目立ち、避けて通れなくなった。
JEJ社は20年の合併を経て社員400人超まで拡大する一方、7・13災害の教訓を知る社員は減った。災害への備えを喫緊の課題と捉え、事業継続計画(BCP)策定を目指すなど災害時の対策を進める。新潟県が被災した場合に県外で代替生産できる体制の整備も検討課題だ。
一方、7・13水害では社外からの助けが...
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