
J1復帰2年目のアルビレックス新潟は、最終節でJ1残留を確定させた。今季、YBCルヴァン・カップでクラブ初の準優勝を果たした一方で、リーグ戦ではまさに薄氷の残留劇を演じた。「ボールを保持する」新潟のサッカースタイルはなぜ、苦しんだのか。今季の戦いを振り返り、来季に向けた課題を探る。(5回続きの5)
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自力残留が懸かった11月30日のホーム最終戦。G大阪に敗れはしたが、2023シーズンのホーム最終戦と比べて約5千人多い2万7628人が来場した。
クラブ関係者は、カップ戦史上最多の6万2517人を集めた11月2日のYBCルヴァン・カップ決勝が全国中継され、注目度が集まったとみる。
ただ、2024シーズンのリーグ戦の平均ホーム来場数は2万2430人と昨季から約700人減。アルビレックス新潟の風間一理執行役員事業本部長は「ルヴァン杯の決勝進出の影響で(第35節の)東京V戦が平日開催となった影響が大きい。ホームで4勝しかできなかったこともある」と説明する。
▽人件費と成績に相関関係
チケットやスポンサーからの収入は、選手に投資できる金額に影響してくる。Jリーグは、人件費の水準と競技成績に相関関係があることを認めている。
新潟のトップチームの人件費は昨季8億8900万円で、J1最少額。J1平均は23億4700万円だった。
クラブは来季のチケット価格を見直し、購入単価を平均で10%増と予測。増収分を強化費に充てるとしている。
スポーツビジネスに詳しい新潟経営大の島田達人准教授は、スポンサー収入を増やすために、他のクラブのようにチャンスの時に企業名をビジョンに映し出すなど、やり方はまだあると言う。
集客面では、アウェー客に注目することが重要だと指摘。浦和やFC東京など集客が見込める、関東のビッグクラブのサポーターを呼び込む仕掛けづくりを提案する。
「ホームの選手を後押ししてくれる人が多いに越したことはないが、チケット完売という成功体験をつくっていくべき」と語る。

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