果肉が黒っぽいものが甘いとされる伝内柿
果肉が黒っぽいものが甘いとされる伝内柿

 新潟県の胎内市や新発田市で江戸時代から作られてきた「伝内柿(でんないがき)」の商品化に向けた研究が、新潟食料農業大学胎内キャンパス(胎内市平根台)で進んでいる。1本の木に甘い実と渋い実がなるという特有の課題があったが、2年にわたる研究で、木に実った果実に渋抜きの成分を含んだ薬剤を貼り付ける手法が効果的だと判明。関係者は「地域の特産にしたい」と期待を寄せている。

 伝内柿の研究をしているのは、松本辰也教授とゼミの学生。2年ほど前に新発田市内で柿の木を所有する中野耕栄(こうえい)さん(65)と下條荘市(そういち)さん(69)から伝内柿を復活させて生産したいとの依頼があり、研究を開始した。

 伝内柿は強い甘さが特長だが、1本の木に甘い実と渋い実が混在する性質があるため販売に向かず、流通もされていない。下條さんは「子どもの頃はどの家にもあったが、渋い実がなることから切ってしまった人は多い」と話す。

 県園芸研究センター(聖籠町)にある文献などから特徴を調査。伝内柿は約250年前に、黒川藩主が現在の奈良県である大和郡山から持って来て植えたことや、昭和初期には北海道や京阪地方へも出荷されていたことが分かった。分布調査も実施し、胎内と新発田の約30カ所で確認...

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