北陸電力志賀原発の北約10キロに位置する石川県志賀町。震度7の揺れで多数の家屋が被害を受けた=2024年2月
北陸電力志賀原発の北約10キロに位置する石川県志賀町。震度7の揺れで多数の家屋が被害を受けた=2024年2月

 家屋倒壊が多発した2024年の能登半島地震について、原子力規制委員会原発推進を担う経済産業省から安全規制の役割を分離させ、原子力規制に関する業務を一元化した組織。東京電力福島第1原発事故を受けて発足した。国家行政組織法3条に基づき、人事や予算を独自に執行できて独立性が高い「三条委員会」として環境省の外局に位置付けられる。衆参両院の同意を得て首相が任命する委員長と委員4人で構成する。の山中伸介委員長は2月12日の定例会見で、「(もし能登半島にある北陸電力志賀原発で事故が起きていたら)屋内退避原発事故で放射性物質が放出される恐れがある場合、原発から5〜30キロ圏を対象に国が指示する被ばく防護措置。5キロ圏は即時避難する。屋内退避は無理な避難や交通渋滞による被ばく、要介護者らの体調悪化を防ぐことが目的。試算によると、約100平方メートルの一般的な家屋内では被ばく線量が屋外の半分程度になる。原発の状況に応じて避難に切り替えたり、退避を解除したりする。能登半島地震では家屋の倒壊が発生。自然災害と原発事故が重なった際にどうするかが課題。 できる状況ではなかった」と述べた。原発から半径5〜30キロ圏の避難準備区域(UPZ)原発などで事故が発生した場合に防護措置を行う区域の一つ。原発からおおむね5~30キロ圏は緊急防護措置を準備する区域=Urgent Protective action planning Zone=とされる。放射性物質が放出される前に屋内退避を始め、線量が一定程度まで高くなったら避難などをする区域。5キロ圏はPAZ=予防的防護措置を準備する区域=という。の住民は、原発事故時は自宅などへの屋内退避が原則となっているが、いまだ課題があるとの見解を示した格好だ。

 規制委は能登半島地震を受け、屋内退避の運用見直しに着手。同委の検討チームが2月5日に公表した報告書案では、自然災害と原子力災害が重なる複合災害の対策に触れ、退避先の耐震化や避難路整備など自然災害対策の強化の重要性を指摘している。

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