
屋内退避について議論する原子力規制委員会の検討チーム=2月5日、東京都
原子力規制委員会原発推進を担う経済産業省から安全規制の役割を分離させ、原子力規制に関する業務を一元化した組織。東京電力福島第1原発事故を受けて発足した。国家行政組織法3条に基づき、人事や予算を独自に執行できて独立性が高い「三条委員会」として環境省の外局に位置付けられる。衆参両院の同意を得て首相が任命する委員長と委員4人で構成する。は2月5日、原発事故時の屋内退避原発の事故などにより、放射性物質が放出されている中で避難行動を取ることで被ばくすることを避けるため、自宅など屋内施設にとどまること。国は原発からおおむね半径5~30キロ圏に住む人は、放射性物質が放出された場合は「屋内退避」するとしている。屋内退避中は戸締まりや換気設備を止めることなどが必要となり、数日間継続することも想定されている。の運用を見直す検討チームの会合を開き、自然災害と原発事故が重なる複合災害対策への提案を盛り込んだ報告書案を公表した。ただ提案は従来の見解を示すにとどまり、内容は具体性の乏しいものとなった。このほか住民と自治体向けの具体的な運用方針を盛り込んだ質疑応答集(Q&A)も加えた。今後、改めて原発周辺自治体から意見を募り、3月に最終的な報告書をまとめる。
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報告書案は、自宅などが倒壊した場合の退避先の耐震化や避難路整備など自然災害対策の強化が原子力災害対策にも大きく寄与すると指摘。「(相互の)連携を強化することが極めて重要だ」と明示した。
検討チームはこれまで「自然災害の防災は(所管の)範疇(はんちゅう)外」であることを理由に...
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