川沿いに木造の旅館が建ち並ぶ城崎温泉。昔ながらの温泉街の風情が旅行客を魅了する=兵庫県豊岡市
川沿いに木造の旅館が建ち並ぶ城崎温泉。昔ながらの温泉街の風情が旅行客を魅了する=兵庫県豊岡市

 人は何かに心引かれて物を買い、魅力を感じて旅行する。食事や美しい風景、現地での交流も含めコンテンツとなる要素や仕掛けがある。2025年の経済面では、新たな潮流を探る重点企画「NEXTコンテンツ潮流」を展開する。まずは、「佐渡島(さど)の金山「相川鶴子金銀山」と「西三川砂金山」の二つの鉱山遺跡で構成。17世紀には世界最大級の金の産出量を誇った。金の採取から精錬までを手工業で行っていた時代の遺構が残っているのは、世界的に例が少ないとされる。」が世界文化遺産登録となった佐渡と、トキの野生復帰で縁が深く、インバウンド(訪日客)が拡大する兵庫県豊岡・城崎(きのさき)温泉の宿の取り組みから、次の時代を見据えた観光誘客を考える。(2回続きの2)

 カランコロン、カラン。げたを履き、浴衣姿で温泉街を歩いて外湯を巡る外国人観光客ら。日本海に近い兵庫県豊岡市の城崎温泉は、木造3階建ての旅館が並ぶ昔ながらの温泉街の風情があり、インバウンドや若者でにぎわう。

 豊岡市の外国人観光客延べ宿泊者数は2009年の約2千人泊から、19年には約6万4千人泊に急増。24年1〜9月も前年同期比30%増の約5万3千人泊を記録した。米国や英国など欧米が伸びているという。

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 多くの人を引きつける背景には、地域の魅力や価値を高める「アップデート」作業がある。志賀直哉ゆかりの宿で知られる老舗旅館三木屋10代目の片岡大介さん(43)は...

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