東レ経営研究所DE&I研究主幹の宮原淳二氏
東レ経営研究所DE&I研究主幹の宮原淳二氏

 企業に女性の登用を促す「女性活躍推進法」の全面施行から来年で10年。県内企業も意識改革や取り組みは進みつつあるが「女性の管理職比率30%」など政府の示す数値目標とは大きな開きがある。女性の昇進を阻む「ガラスの天井」を破るには何が必要なのか。経営者や識者らに、女性登用への課題を聞いた。(4回続きの4)

 「自分の経験をベースにするのではなく、時代が大きく変化していることを管理職側は自覚する必要がある」。化粧品大手・資生堂で多くの女性部下と向き合った経験を持つ、東レ経営研究所(東京)DE&I研究主幹の宮原淳二氏(60)は強調する。企業側にとって女性活躍はなぜ必要なのか。取り組みのヒントを聞いた。

-女性の役員、管理職登用を進める企業側のメリットは。

 「取締役会における女性の割合が高いほど、株価のパフォーマンスが高いのは世界的な傾向で、企業や商品の付加価値向上に影響している。多くの機関投資家らが、女性活躍(女性役員比率)を投資判断の一つに挙げている」

 「特許取得では、男性単独よりも男女共同チームで良い成績が出るというデータがある。同質的な人が集まる組織では、従来と異なる方針にブレーキをかける傾向が見られる。経営層に女性がいるだけではなく、自由に意見を言える風土が求められている」

-現状をどのように見ていますか。

 「身近にロールモデルが少ないことや、仕事と家事・育児のバランスが取りにくいこと、古い慣習を持つ男性中心のネットワーク『オールド・ボーイズ・ネットワーク(OBN)』の三つが(女性の活躍を)阻害している」

-OBNとは。

 「自分と異なる働き方への...

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