県内の地価をけん引する新潟市で被害が大きかったことを踏まえれば仕方がない面があるだろう。被災地域の再建を着実に進めることで上昇に転じさせたい。

 国土交通省が発表した2025年1月1日時点の公示地価で、県内の全用途平均の変動率は前年比マイナス0・5%となり、30年連続で下落した。

 下落幅は3年連続で縮小していたが、前年と同率となった。

 用途別の変動率は、住宅地がマイナス0・6%で、下落幅が前年より0・1ポイント拡大した。下落は28年連続だ。商業地はマイナス0・7%で33年連続の下落だが、0・2ポイント改善した。工業地はプラス1・6%で7年連続上昇した。

 住宅地が伸び悩んだのは、24年1月1日に発生した能登半島地震の影響が初めて公示地価に反映されたことが大きい。

 液状化被害が大きかった新潟市西区の住宅地は前年のプラス0・6%からマイナス0・8%に転じた。この影響もあって同市全体では上昇幅が0・4ポイント縮小し、プラス0・5%となった。

 被害があった土地の売買が停滞していることが理由だ。地震被害に対する印象から西区を避け、買い控える動きもあるという。

 しかし西区は中心市街地に近くて利便性が高く、もともと人気の高いエリアだ。住宅の再建や行政による液状化対策が進み、地震のイメージが払拭されれば、不動産取引も地震前の水準に戻る可能性があるだろう。

 そのためには復旧工事や行政による対策を急がねばならない。

 全国的には、三大都市圏が22年から上昇基調に入っているのに続き、25年は三大都市圏以外の地方圏でも、調査を継続した地点の50・0%で価格が上昇した。上昇地点が半数以上になったのは1992年以来、33年ぶりとなる。

 残念なのは、本県がそうした潮流に乗れていないことだ。

 全国では災害などの影響で調査を見送った地点があるものの、都道府県別の下落率で、本県は住宅地が和歌山県と並び最大、商業地は鳥取県に次いで2番目に大きいという結果になった。

 県内の商業地では、JR新潟駅の商業施設が昨年春にオープンしたことや再開発が進んだことで、新潟市が中央区を中心に上昇した。インバウンドが回復した湯沢町や周辺で大規模リゾート開発が計画される妙高市も好調だ。

 一方、人口減少が止まらず、都市部と過疎化する地域との二極化傾向も顕著になっている。

 定住・交流人口を積極的に取り込み、新たな投資を呼び込んでいかねばならない。

 金山が世界文化遺産に登録された佐渡市をはじめ、県内に点在する観光地を周遊プランでつなぐなど、波及効果を生み出す取り組みに力を入れたい。