大舞台での17歳の快挙を祝福したい。多幸感あふれる演技で多くの人を魅了し、メダルをつかんだ。重圧をはね返す強さに、さらなる飛躍が期待される。

 ミラノ・コルティナ冬季五輪のフィギュアスケート女子で、新潟市出身の中井亜美選手が銅メダルを獲得した。フィギュアの日本勢では男女を通じ、史上最年少のメダリストとなった。

 ショートプログラムで首位に立ちフリーは最終滑走だった。どの選手より長く待たされ、緊張にのみ込まれてもおかしくなかった。

 だが「この五輪を存分に楽しむぞ」と笑顔でリンクに入り、3回転半の大技トリプルアクセルを鮮やかに決めた。ショートプログラムに続く成功だった。

 厳しい練習を積み重ねてきたからこその成果だ。これまでの努力に敬意を表したい。

 中井選手は今季、シニアに本格参戦した。

 グランプリ(GP)シリーズ開幕を控えた昨年10月のインタビューでは「あまり五輪を意識して気を張り詰めたくない」と語っていた。挑戦者だという意識が強かったのだろう。

 GPデビュー戦のフランス大会に向かう前は、緊張や重圧で不意に泣き出すこともあったという。

 しかし、そのフランス大会で優勝すると弾みがつき、五輪を「夢から目標に変わっている」と話すようになった。実力者ぞろいの全日本選手権でも上位に入り、五輪出場権を勝ち取った。

 そして今回の銅メダルだ。技術力、精神力の成長に驚嘆する。

 中井選手は、2010年バンクーバー五輪銀メダルの浅田真央さんに憧れ、5歳でフィギュアスケートを始めた。

 新潟市中央区のアイスアリーナに約6年間通い、放課後から夜まで熱心に練習を重ねた。

 同じアリーナでは20日早朝、スケートクラブの子どもたちが中井選手の演技を見守った。身近な先輩の活躍に刺激を受けただろう。次世代を担う選手が生まれるきっかけになってほしい。

 銀メダルの坂本花織選手は、今季で引退する。坂本選手は中井選手と同様、高校生で五輪に初出場して以降、日本フィギュア界をけん引してきた。ミラノ五輪でも他の選手を支え続けた。

 メダリストとなった中井選手は今後、坂本選手のような役割を担う場面もあるだろう。伸びやかさはそのままに、さらに強い姿を見せてもらいたい。