済生会新潟病院に到着した救急車。最近は心不全の急患も増えている=新潟市西区
済生会新潟病院に到着した救急車。最近は心不全の急患も増えている=新潟市西区

 国民の5人に1人が75歳以上の後期高齢者になろうとしている2025年、高齢者に多い疾患を巡り、県内の医療機関がある事態に危機感を募らせている。心臓の機能が低下し、さまざまな症状を引き起こす心不全何らかの原因で心臓のポンプ機能が低下し、臓器をはじめ全身に必要な血液を十分に送り出せなくなる状態のこと。(※ページ下部に詳細)患者の急増だ。病床数には制約があり、治療する循環器医は医師少数県の新潟県でも特に少ない。「心不全パンデミック(大流行)」に直面する循環器医療の現状と課題を追った。(報道部・種岡郁江)

 寒さが増した2月中旬。済生会新潟病院(新潟市西区)では心不全の入院患者らが増え、410あるベッドが満床状態になった。「心不全パンデミックの状況に入っている」。循環器内科の畑田勝治医師(55)は厳しい表情を見せた。

 心不全患者の入院数は2020年の115人から右肩上がりで推移し、24年は196人だった。増加傾向だと言え、畑田医師は「基本的に高齢化が要因」との見方を示す。

 23年に新潟市の救急拠点病院に選ばれた同病院は、将来的に年8000台の救急車の受け入れを目指す。22年度以前は多くて3000台だったが、23年度は...

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