
アルコール依存症を克服するための米国発祥の自助グループ「アルコホーリクス・アノニマス(AA)」が3月、日本法人創設50周年を迎えた。依存症に苦しむ人々が体験談を共有し、独自の回復プログラムを実践することで社会復帰を目指してきた。関係者は「依存症は誰でもかかりうる身近な病気だ」と語る。柏崎で活動するAAの会合に参加し、依存症になる背景や回復への方策を考えた。(2回続きの1)
私たちはアルコールに対し無力であり、思い通りに生きていけなくなっていたことを認めた-。
柏崎市を拠点とする「AAさざなみグループ」は、依存症当事者や家族、医療関係者が参加するオープン・ミーティングを毎週木曜日と土曜日に行っている。
ミーティングでは、参加者が「12ステップ」と呼ばれる自分自身の生き方を振り返る回復プログラムを読み合わせた後、酒に苦しんだ過去を語り合う。冒頭の文言は12ステップの1節だ。
AAは参加者の匿名性を大切にしている。ミーティングで参加者はニックネームを名乗り、各自の体験談を話す。
「2011年8月の最後の日曜日。翌日に死ぬつもりで『この世の最後の酒だ』と思って飲んだ」。さざなみグループ設立に関わり、まとめ役を担ってきた小千谷市の50代男性は、そう自身の過去を切り出した。
▽第一印象は「情けない連中」
父親や兄弟は大酒飲みで、自身も酒を飲んで愉快になったときが「本当の自分を出せている」と感じていた。人間関係の悩みから転職を繰り返し、仕事のあつれきは酒で紛らわせるようになった。だが、次第にストレスは酒でごまかしきれないようになっていった。
「酒をやめようと思えばやめられると思っていたが、やめられない。酒をやめるまで依存症だと分からなかった」と振り返る。
11年8月、酒に酔い、ふとした口論から妻の首を絞め...