表現の奥に真摯な態度
現在、新潟市新津美術館では日本を代表する絵本作家、荒井良二(1956〜)の展覧会を開催している。自らを「絵本もつくる人」と称する荒井の創作活動は、絵本だけにとどまらず、絵画や立体作品、芸術祭の芸術監督、音楽活動など多岐にわたる。荒井は絵と物語を出発点としながら、まさに旅をするような気分で精力的にその活動の幅を広げてきた。本展は、そんな荒井の活動の一端を紹介するものである。
荒井は2007年にも当館で個展を開催しており、新潟市とは縁が深い。それから18年ぶりとなる今回の個展では、手ずから設営作業をするため新潟に5日間滞在。展示室を歩き回り、悩み、楽しみながら当館だけの会場を作り上げた。
会場の...
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