福島県境と接し、今冬は5メートルもの積雪となった魚沼市大白川。立夏を過ぎても、標高約550メートルのブナ林にはまだ雪が残っていた。目を引くのはブナの根元の雪が溶ける「根開き」。雪の重みで根曲がりした木々の根元が際立ち、自然が織りなす美の世界が広がる。

豪雪地の雪の重みを伝える根曲がりブナ。根開きで残雪が消え、美しい曲線が顔をのぞかせていた=5月上旬、魚沼市(魚眼レンズ使用)

 ブナに詳しい新潟大学名誉教授の紙谷(かみたに)智彦さん(72)によると、根開きの要因は複数考えられる。日光が幹に反射し根元の雪を解かしたり、雨水が幹を伝って流れ落ちたりするほか、芽吹きに向けて木が水をたくわえ、幹回りが温かくなることも関係するという。

 ブナ林の分布は日本海側の多雪地帯と重なる。根曲がりしても幹がまっすぐ立ちやすく、幹の割れや折れ...

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