雪の塊が水面に浮かぶ姿はまるで“流氷”。心地よい陽気となった4月中旬、福島県境にある魚沼市の破間(あぶるま)川ダムは「雪流れ」がピークを迎えていた。4メートルを超える雪に見舞われる山深い地に、雪解け水が生み出す「白いブロック」が複雑な模様を描く。

魚沼市大白川で見られる「雪流れ」。破間川の水面に大きな雪の塊が漂う=2025年04月14日、魚沼市大白川 破間川ダム周辺 ドローン撮影

 水量が少なくなる冬の間、ダムの底や脇の斜面にたくさんの雪が積もることが雪流れの現れる条件。春先、ダムに大量の雪解け水が流れ込むと、水位が急上昇し、解け残った雪が塊となって浮かび上がる。川沿いに積もった雪も巻き込み、水流や風向きに合わせ、ダムの湖面を漂う。

 大小に粗々しく割れた雪の塊の中には、大型バス1台を超える巨大なものもある。4月上旬から中旬にかけて楽しめ、県外からも多くの観光客が足を運ぶ。友人と訪れた長岡市の女性(62)は「写真では分からなかった雪の塊の厚みに驚いた」と笑顔を見せた。

 ダムの上流側に架かる全長約200メートルの浅草大橋からは、雪流れの迫力を最も間近で感じられる。赤い橋、エメラルド色の破間川、太陽の反射で輝く白い雪のコントラストが映えるポイントを探り、ドローンで撮影した。

 この絶景を観光資源として売り込もうと、魚沼市観光協会は10年ほど前から雪流れの魅力を発信している。ホームページに解説や最新状況を掲載し、撮影ポイントを示したマップも制作した。

 現地に足しげく通う観光協会の山田智之さん(43)は「近くに宿泊施設があり、除雪されているので山奥のダムだが見に行きやすい。魚沼の立派な観光名所にしたい」と熱く語る。

 県内では、ここでしか見られない幻想的な雪解け。豪雪地・魚沼が誇る多彩な「白」の一つだ。

(写真映像部・菊池雪那)...

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