これは怖い。沖縄県の琉球新報が朝刊やホームページに載せた写真に、一記者として衝撃を受けた。撮影した記者に米軍の兵士が銃口を向けた連続写真だ。小銃を構えたまま数秒間こちらを見つめている

▼那覇市の米軍港湾施設で訓練中の出来事だ。記者は施設外の国道沿いから撮影していた。本土での日常取材では対象者の怒りを買ったり、不審に見られたりしても兵器で脅されることはまずない

▼公道に軍用銃を向けるとは。玉城デニー沖縄県知事は「けしからん。県民を敵視していることになる」と問題視したが、当然だろう。兵器がすぐ身近にある「基地の島」の現実に改めて驚く

▼沖縄はきょう15日で復帰から50年を迎えた。しかし現地で米軍問題を取材してきた映画監督の三上智恵さんは「復帰50年をことほぐような雰囲気はない。むしろ『沖縄戦再来』の恐怖におびえている」と語る。沖縄を含む南西諸島で、自衛隊のミサイル基地などの整備が急速に進んでいるためだ

▼中国の海洋進出で台湾有事も懸念されるとして、与那国島や宮古島、石垣島に次々に部隊が配備されている。沖縄本島の米軍基地負担は重いまま、離島が対中国の最前線となる格好だ。ロシアのウクライナ侵攻が軍備増強の声に拍車をかける

▼太平洋戦争では「本土防衛」を目的とした沖縄戦で県民の4人に1人が犠牲になった。三上さんは問いかける。「また沖縄を戦場にするのか。国防のために沖縄県民の人権を制限してもいい、そう思っていませんか」

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