豚DX(デラックス)、中華ざんまい、牛・豚・鶏のトリプルカツ………部活終わりの男子高校生が考えた? そんなツッコミを禁じ得ない、茶色の魔力。それが、とんかつ専門店「かつや」の期間限定メニューです。
毎月、新作が発表されるとSNSユーザーがざわめきます。「肉の暴力丼」「異次元を攻めてくる」「まぜるな危険」「こういうのでいいんだよ」「さすが俺たちのかつや」など、独特のワードで“かつや愛”を伝えます。人々のハートと胃袋をわしづかみにするかつやの限定メニュー。一体どのように考案されているのでしょう。担当者は語ります。「おいしくて、笑えて、最高と言ってもらえるかつやでありたい」。新潟県とゆかりが深いかつや。濃厚な開発の舞台裏に迫ります。
国内外でかつやを展開するのは「アークランドサービスホールディングス(HD)」(東京)です。ホームセンタームサシなどを展開する「アークランズ」(新潟県三条市)が1986年に立ち上げた外食事業部が発祥で、93年に設立されました。

◆「物足りないは悪」徹底した「かつやらしさ」
話を聞いたのは、アークランドサービスHD商品本部本部長の戸田鉄朗さん(三条市出身)と、商品・販促部の井嶋健人さん。戸田さんは2022年、井嶋さんは24年の期間限定メニューのほぼ全てを手掛けた実績の持ち主です。

毎回、圧倒的なボリュームで話題になる限定メニューですが、そのコンセプトは戸田さんいわく「物足りないは悪」。強くこだわるのが「量感」です。「かつやで安かろう少なかろうは、やっぱり駄目で、...
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