
滝波宏文農林水産副大臣に緊急要請書を手渡す県農協中央会の伊藤能徳会長(左から3人目)=19日、東京都千代田区の農林水産省
県農協中央会(JA県中)の伊藤能徳会長を含む富山、石川、福井の北陸4県のJA中央会は19日、農林水産省で滝波宏文農林水産副大臣に「2025年産米の安定供給に向けた緊急要請」を行った。随意契約による備蓄米の放出規模が、小売価格に対する過度な政府介入につながる懸念があり、生産意欲をそぎかねないと表明。備蓄米放出などの政策が、25年産の生産者米価に影響を与えないよう、政府に対応を求めた。
緊急要請では、備蓄米の放出によって需給の大幅な緩和が想定される場合、備蓄米の買い入れを行うことや、小売価格の抑制を目的にしたコメの輸入拡大はしないよう求めた。また作況指数の廃止を受け、収穫量などについて詳細かつ精緻な情報の把握と提供を要望した。
滝波副大臣に対し伊藤会長は、店頭価格の沈静化のための対応として備蓄米放出に一定の理解を示した。一方、小泉進次郎農相が需給の大幅な緩和を目指すとした発言を指し、「(価格を下げるためにコメを)『じゃぶじゃぶにしていく』と言ったと聞いているが、生産者に対して余りにも失礼。生産意欲に水を差している」と苦言を呈した。滝波副大臣は「消費者と生産者が納得いく価格に落ち着かせたい」と述べた。

◆県内生産者から恨み節も…「ようやく再生産可能な水準になったのに」
政府による備蓄米の放出やコメ輸入の前倒しを受け、県内の生産者やコメ流通関係者からは、生産者米価の影響を懸念する声が...
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