「初めての備蓄米の精米だったが、おいしいお米を送り出そうと努めた」と語る野上茂会長=長岡市(長岡支社・金子悟撮影)
「初めての備蓄米の精米だったが、おいしいお米を送り出そうと努めた」と語る野上茂会長=長岡市(長岡支社・金子悟撮影)

 国がコメの流通を管理する食糧管理法が1995年11月に廃止されてから30年となった。流通自由化で競争が激化し、従来の米穀店が減少する一方、好機と捉えて事業拡大や新規参入を図った企業もある。「令和の米騒動」で再び激動の時代を迎え、生産から販売までを見据えて独自の商流を築く県内の米穀店を追う。(3回続きの1)

 コメ不足と米価高騰で政府が放出に踏み切った備蓄米。その流通で重要な役割を担ったのは精米技術があり、小売りと関係を築いている地域の米穀店だった。

 5月下旬。政府が随意契約で大手小売業者に備蓄米を売却し、引き渡し作業が始まった。名だたる流通業者が店頭販売に向けてスピードを競う渦中に、野上米穀(長岡市)がいた。

 ディスカウントストア「ドン・キホーテ」などを運営する企業から精米業務を受託。2022年産の備蓄米を長岡市の協力工場で精米し、その日のうちに首都圏などの店舗へ送り出した。

 野上米穀の野上茂会長(76)は...

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