雪蔵倉庫を説明する吉兆楽の北本健一郎社長。雪の冷気をコメ倉庫に流し、低温を保つ=南魚沼市(長岡支社・中里一也撮影)
雪蔵倉庫を説明する吉兆楽の北本健一郎社長。雪の冷気をコメ倉庫に流し、低温を保つ=南魚沼市(長岡支社・中里一也撮影)

 国がコメの流通を管理する食糧管理法が1995年11月に廃止されてから30年となった。流通自由化で競争が激化し、従来の米穀店が減少する一方、好機と捉えて事業拡大や新規参入を図った企業もある。「令和の米騒動」で再び激動の時代を迎え、生産から販売までを見据えて独自の商流を築く県内の米穀店を追う。(3回続きの2)

<上>野上米穀(長岡市)備蓄米“流通競争”で光った精米技術

 豊富な雪解け水と昼夜の気温差で全国屈指のブランド米産地の南魚沼市。約30年前、大阪から進出してきたのがコメ卸の吉兆楽だ。

 薄利多売と言われる卸売業だが、北本健一郎社長(53)は「販売量は年約3千トンでそれほど多くないが、利益率は卸メインの米穀店ではトップクラスだ」と胸を張る。魚沼地域に100軒超の契約農家がおり、雪を活用した低温管理やうまみを引き出す「氷温熟成」で価値を高め、通販や県内外のスーパーなどを通じて消費者に届けている。

 今夏、スーパーの原信(長岡市)が...

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