参院選が3日公示された。新潟選挙区には現職・新人を合わせ4人が立候補した。政策本位の熱い論戦を期待したい。
今月も多くの食品が値上がりし、長引く物価高騰が家計を圧迫している。物価高対策は喫緊の課題であり、選挙戦最大の争点だ。
国民生活を守ろうと、与野党は現金給付や、消費税の減税・廃止などを訴えている。「ばらまき」ではないのか、財源も含め各党の公約をしっかりと見極めたい。
今年の春闘は、大手企業を中心に5%を超える賃上げが相次ぎ、4月の現金給与総額は前年同月比で2・0%伸びた。しかし、物価の変動を示す消費者物価指数は4・1%上昇し、実質賃金は4カ月連続のマイナスだった。
物価上昇を上回る賃上げの実現が急務だ。
さらに相次ぐ値上げが、生活を圧迫している。帝国データバンクによると、2025年は累計2万品目超の値上げが見込まれる。家計の負担は増すばかりだ。
トランプ米政権の関税強化策も懸念される。関税により、企業収益が悪化すれば、賃上げの抑制にもつながりかねない。
共同通信が先月末に実施した参院選の有権者動向を探る全国電話世論調査で、何を最も重視して投票するかを聞いたところ「物価高対策」が31・9%で最多だった。
石破茂首相は、「一番重要なのは賃上げだが十分ではない。再分配を考えたい」とする。
与党自民党は公約に、30年度に賃金約100万円増を目指すとしたほか、連立を組む公明党と同じく、税収増などを活用し1人2万円、子どもや非課税世帯の大人に1人4万円の給付を打ち出した。
立憲民主党は、食料品にかかる消費税を0%とし、減税実施まで1人2万円の支給を盛った。日本維新の会は、現役世代の社会保険料1人6万円引き下げを訴える。
共産党は消費税を5%に減税しその後廃止、国民民主党は所得税が生じる「年収の壁」の178万円への引き上げを強調する。れいわ新選組は消費税廃止、参政党は消費税の段階的廃止を主張する。
消費税廃止の財源に関し、立民の野田佳彦代表は国の基金を充て国債は発行しないとする。
政府は、先に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太方針」で財政健全化の達成時期を事実上、後退させた。歳出膨張に歯止めがかからないためだ。
日銀の利上げで「金利ある世界」が到来する中、国債の利払い費の増加も心配される。
給付や減税が今後の財政運営にどう影響するのか、各党には詳細な説明が求められる。目先の対策だけではなく、中長期的な視点にたった政策も必要だ。