一人一人に合った多様な学びが保障される必要がある。何よりも、子どもたちが安心して過ごすことのできる居場所を整えたい。

 文部科学省が公表した問題行動・不登校調査の結果、国公私立の小中学校で2024年度に30日以上欠席した不登校の児童生徒は、全体の3・9%に当たる35万3970人だった。増加するのは12年連続だという。

 不登校の小学生は13万7704人で5・6%増、中学生は21万6266人で0・1%増だった。小学生は44人に1人、中学生は15人に1人の割合となった。

 県内では小中学生5829人が不登校で、9年連続で過去最多を更新した。小学生が2119人、中学生が3710人で、いずれも前年より増えた。

 不登校で悩んでいる子どもや家族は少なくないだろう。寄り添い、支える仕組みは整っているのか、確認しなければならない。

 増加の背景に、新型コロナウイルスの感染拡大で「無理に学校へ行かなくてもいい」という意識が浸透し、デジタル端末を活用して自宅などで学習する子どもが増えたこともあるという。

 全国でみると、子どもたちのペースで通えるフリースクールなど学校外の機関で指導を受け、出席扱いとなったのは4万2978人、情報通信技術などを活用した自宅学習での出席扱いも1万3261人に上った。

 学校や教室に戻ることを目指すだけではなく、子どもの状況や特性に合った対策が求められる。

 23年に国が公表した不登校対策でも、多様な居場所の確保が盛り込まれた。

 学習指導要領に縛られず、授業時間を減らすことができる「学びの多様化学校(不登校特例校)」はその一つで、県内でも上越市や小千谷市が来春の開設を目指す。

 県教育委員会は教室に入りづらい子ども向けに各校に「スペシャルサポートルーム」を設置する取り組みを進める。

 また、新発田市では市民団体が自主夜間中学を運営している。新潟市教委は市立夜間中学の開設に向けて検討中だ。

 さまざまな学びの環境が整いつつあることは子どもたちだけでなく、保護者にとっても安心できる要素だろう。

 対策に特効薬はないといわれるが、一人一人がなぜ不登校になっているのか、丁寧に見極めることが大切だ。

 発達障害や、頭痛やめまいで起き上がるのが困難な起立性調節障害などで医療の支援が必要な場合もある。適切なケアが受けられるようにしたい。

 不登校に限らず、子どもを取り巻く悩みが生じたときに相談できる窓口も必要だ。学校だけに任せず、行政や医療機関、民間などの力を合わせたい。