13歳だった横田めぐみさんが新潟市で北朝鮮に拉致されてからきょうで48年となった。長すぎる歳月の重みをかみしめ、解決のために知恵を絞らなければならない。

 これ以上、家族の苦しみを長引かせることは許されない。

 母の早紀江さんは11日、「精も根も尽き果てた。もう会えないのかなと思うときもある」と苦しい胸中を明かした。

 娘との再会を願い続けてきた早紀江さんは来年、90歳になる。

 この5年間で、めぐみさんの父滋さんや、拉致被害者有本恵子さんの父明弘さんら親世代が相次ぎ亡くなった。未帰国の政府認定拉致被害者の親世代で存命なのは早紀江さん一人だ。

 もはや、一刻の猶予もないことを胸に刻みたい。

 現在はめぐみさんの双子の弟の拓也さんと哲也さんら、きょうだいや子ども世代が中心になって救出を訴えている。それぞれに仕事や家庭を持ちながらも、再会に向け、強い覚悟で動いている。

 腹をくくり、行動しなければならないのは、家族ではなく、政治家だ。拉致問題解決のための北朝鮮との交渉は日本政府にしかできないことである。あらゆる手段を尽くしてもらいたい。

 2002年に柏崎市の蓮池薫さん、佑木子さん夫妻、佐渡市の曽我ひとみさんら5人が帰国してから23年が経過した。

 この間、拉致被害者が1人も帰国を果たせていない事実を、政治は重く受け止めるべきだ。

 高市早苗首相は今月、拉致被害者の帰国を求める国民大集会で「私の代で何としても突破口を開き、拉致問題を解決したい」と述べた。北朝鮮に首脳会談実施を打診したことも明らかにした。

 膠着(こうちゃく)した日朝関係の打開を図ろうとする姿勢は歓迎したい。

 ただ、「拉致は解決済み」との立場を維持する北朝鮮側から返答は届いていないという。

 北朝鮮はウクライナ侵攻を続けるロシアと関係を深めている。派兵や武器供与の対価として、経済支援を得たとされる。北朝鮮経済がある程度安定すれば、日本との対話の優先度が下がると指摘する専門家もいる。

 その中で、北朝鮮を交渉のテーブルに着かせる方策を、政府は総力を挙げて考えてもらいたい。

 米国のトランプ大統領も金(キム)正恩(ジョンウン)朝鮮労働党総書記との会談に意欲を示している。米朝関係が進展した場合に、拉致問題が置き去りにされないよう、米国との連携も欠かせない。

 政治を動かし、問題解決につなげるためには私たち県民が拉致問題への関心を持ち続けることが必要だ。家族の悲痛な訴えをわが事として捉え、声を上げたい。

 きょう、新潟市では「忘れるな拉致

 県民集会」が開かれる。救出に向け、思いを一つにしたい。