戦争体験や平和への思いを語る座談会の出席者=柏崎市産業文化会館

 柏崎市と出雲崎町の戦争体験者と、柏崎市に住む広島原爆の被爆3世による座談会が、新潟日報社の呼びかけで、7月末に柏崎市産業文化会館で開かれた。出席者は棚橋二三男さん(83)、清水泰子(ひろこ)さん(85)、貞岩しずくさん(25)。「平和の尊さを伝えたい」「受け継ぐ側にも努力が必要」。3人は戦争や平和への思いを語り、次代へ継承する努力の大切さを強調した。詳報を紹介する。(以下敬称略。司会は柏崎総局・鈴木啓予、笠原萌志)

◎棚橋二三男(たなはし・ふみお)1942年、出雲崎町出身。2歳で出征した父親を亡くした。柏崎市の収入役などを経て現在、社会福祉法人の理事長を務める。
◎清水泰子(しみず・ひろこ)1940年、東京出身。5歳の時に東京大空襲で母を失い、柏崎市南条の農家に引き取られた。柏崎市役所勤務を経て現在、ダンス教室経営。
◎貞岩しずく(さだいわ・しずく)1999年、広島市出身。祖父が被爆者で、被爆3世。原爆投下時に母親の胎内にいた「胎内被爆者」証言集の英訳版を昨年出版した。

◆死別、貧困…戦争がもたらす「複合的なつらさ」

-戦争体験、戦争に対する考えを教えてください。

棚橋 戦争は「複合的なつらさ」をもたらした。戦地に向かった父を亡くした後、自宅が全焼し、財産を全て失った。

 戦後の母子家庭の生活は厳しく、生きるので精いっぱい。「父なし子」と呼ばれ、いじめの対象になるので、極力静かに生活していた。「どうして自分ばかりがつらいのか」と思うこともあった。...

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