深刻な少子化が改めて浮き彫りになった。実効性のある対策を粘り強く続けるしかない。
総務省が発表した1月1日時点の人口動態調査によると、日本人の人口は1億2065万3227人で、前年より約90万8千人、0・75%減少した。
16年連続のマイナスで、1968年の調査開始以降、減少数、減少率とも最大となった。死者数が過去最多の約159万人だったのに対し、出生者数は最少の約68万人にとどまった。
東京都を除く46道府県で減少した。本県は208万6969人で、前年より2万9558人、1・40%減った。本県の減少は28年連続である。
各自治体は子育て支援や結婚の後押しを進めているが、すぐに結果を出すのは難しい。息の長い取り組みが必要だろう。
また、本県は転出数が転入数を上回る「社会減」が6529人で、全国で5番目に多く、前年より234人悪化した。
県知事政策局は「人手不足を背景に、勤務条件が良い首都圏に転出している」と分析する。魅力ある職場づくりを進めてほしい。
東京、名古屋、関西という三つの大都市圏の人口の合計は6300万人を超え、全国の人口の過半数を占めた。地方創生を推進し、過密を防ぎたい。
一方、外国人は約35万4千人増の367万7463人で、調査を始めた2013年以降最多となった。本県の外国人は2万3785人で前年より2640人増えた。
外国人は、15~64歳の生産年齢人口の割合が85・77%に上る。多くが働き手として、日本経済を下支えしているとみられる。
さまざまな職種で人手不足が深刻化する中、現在の社会機能を維持するために、外国人はなくてはならない存在だ。
懸念されるのは、少子化が進む先進国同士で、外国人を貴重な労働力として奪い合う状況となっていることである。
日本政府は27年度、外国人労働者の確保・育成を目的として、新たな受け入れ制度「育成就労」を開始する。
人権侵害の温床と批判された旧制度の反省を踏まえ、職場の変更を可能とするなど、外国人に配慮した内容となっている。
日本語教育や生活支援など、きめ細かな施策も欠かせない。イベントなど、外国人が地域に溶け込むための工夫も求められよう。
7月の参院選では、外国人政策が争点として急浮上し、排外主義と受け止められかねない言説も目立った。これでは、外国人に日本が敬遠される恐れがある。
政府は在留外国人政策を一元的に担う新組織を設置した。一部外国人の犯罪や迷惑行為の実態把握だけではなく、共生推進に向けたかじ取りも期待したい。