長谷部権次呂

 終戦から80年。戦争という激流の中を生きた県人画家たちがいる。戦意高揚のため、あるいは戦地での過酷な経験から生まれた絵など、画家が時代と向き合って描いた作品を通じ、そこに刻まれた思いを探る。

<2>根底にある「精神の悲劇」…阿部展也「埋葬2」

 手押し式の消防ポンプ車の両脇に、法被姿の女性2人が凜とした表情で立つ。腕章には「上海府村警防団 5 警防員」の文字。日展で活躍した村上市出身の日本画家、長谷部権次呂(1921〜2012年)が、1943(昭和18)年に描いた「女子警防団」だ。この絵には地域特有の背景と、「戦争画」としての意味も刻まれている。...

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