広瀬陽子・慶応大教授
 広瀬陽子・慶応大教授

 米アラスカ州で開かれたウクライナを巡る米ロ首脳会談は、赤じゅうたんでの出迎えやトランプ米大統領の専用車への同乗などを含め、ロシアのプーチン大統領の政治的勝利となった。

 ロシアのラブロフ外相はソ連を意味する「CCCP」のロゴ入りシャツを着て登場。国際社会に対する「大国ロシア」復活のアピールであり、周辺国への心理的圧力を狙った演出でもあった。

 会談前後でトランプ政権の姿勢に三つの変化があった。第一に、ウクライナと欧州が望む「即時停戦」への支持から、ロシアが求める条件を満たす恒久的和平を目指す方向への転換である。

 第二に、合意への決定権はウクライナのゼレンスキー大統領にあるとして、その立場を尊重す...

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