「行列ができる〇〇」というと人気の飲食店が思い浮かぶ。そこから派生してテレビの番組名になったり、商売繁盛のコツを説く本のタイトルになったりもしている

▼米国の絵本作家エッツの「もりのなか」ではラッパを手に森を訪れた少年の後をいろいろな動物がついてきて楽しげな行列ができる。行列は少年の想像の産物であり、作者の幼少期の思い出を膨らませたものでもあるらしい。淡々とした筋立てながら、読み手の想像力をかき立て深い印象を残す

▼できれば避けたい行列もある。長すぎる順番待ちの列にはため息が出る。深刻なのは雲の行列だ。次々に生まれる積乱雲が風に流され列をなし、長時間にわたって強い雨を降らせる。「線状降水帯」と呼ばれる

▼一般的に一つの積乱雲の寿命は1時間程度だという。それならば夕立や通り雨で済むかもしれない。しかし行列をつくると、一つの積乱雲がなくなっても次々に新しい雲が押し寄せる。大量の雨をもたらすことになる

▼気象庁はあすから、線状降水帯の発生を半日から約6時間前に予報する取り組みに乗りだす。海上の水蒸気量や陸上の湿度などが複雑に関係するため予測が難しいが、民間船舶の協力も得て観測網を強化し、スーパーコンピューター「富岳」の分析を駆使する

▼雨の季節が近づく。県内はいくつもの水害に痛めつけられてきた。近いうちに積乱雲の行列ができるかもしれない。発生が避けられないのなら、避難をはじめ、少しでも早く対処するしかない。

朗読日報抄とは?