才能マルチ 工夫は無限

 中原一磨を知ったのは、かれこれ20数年前にさかのぼる。温和な笑顔が印象的な“おじさん”で、話をすると県北の訛(なま)りに親しみを覚えた。

 すでにその頃から県展の全ての部門に挑戦する中原の名前は知られていた。80年の歴史を重ねる県展で、7部門全てに入選入賞を果たした人は多くない。うち2部門では無鑑査である。

 もともと高級家具の販売を仕事とし、後に工芸品、美術作品も取り扱うようになった。40歳頃から写真を撮り始め、1993年46歳の時、写真部門「アレ!花火かな」でいきなり奨励賞を受賞した。審査評には、...

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