防災は生活そのもの。そう言っても過言ではないだろう。新潟市で先ごろ開かれた国内最大級の防災イベント「防災推進国民大会(ぼうさいこくたい)」を見て、改めて思いを強くした

▼大会は10回を数え、本県では初めて開催された。愛子さまの来場で注目を集めたが、内容も国民大会と銘打つだけはあった。会場の朱鷺メッセは、取り組みを発信する県内外の自治体や企業、NPOでごった返した。震災の教訓や防災教育などをテーマに、過去最多となる約470ものプログラムが催され、どれを見ようか目移りした

▼隣接する万代島多目的広場では、防災食の調理や、仮想現実(VR)を用いた災害体験など、子どもと一緒に楽しめる展示が並んだ。東日本大震災の被災者から、津波が押し寄せる中を逃げた体験談や避難の様子を直接聞く企画もあった

▼同時開催された防災関連の企業などによる防災産業展では、最新の防災技術が紹介されていた。2日間会場に出向いても、隅々まで見るには時間が足りなかった

▼物理学者の寺田寅彦は関東大震災を経験し、「天災は忘れた頃にやってくる」と、防災の必要性を説いたと伝わる。身を守る最大の備えは、「災害を忘れない」の一点に尽きるが、近年は忘れるいとまがないほどだ

▼急な豪雨などによる被害が県内をはじめ全国で発生している。猛暑による熱中症の危険性も、クマなどによる被害も深刻さを増している。災害とは隣り合わせの今、防災を生活の真ん中に置いて暮らしたい。