
スペイン領カナリア諸島近海で救助された、木造船に乗る移民=2024年11月(ゲッティ=共同)
西アフリカ沖に浮かぶスペイン領カナリア諸島に命がけで密航し、欧州を目指す移民が後を絶たない。大西洋の荒波で遭難事故が多発し「世界で最も危険なルート」と呼ばれる。当局が取り締まりを強化しても、より良い生活を夢見る人々は新たな航路に挑み、いたちごっこが続く。
8月下旬、カナリア諸島のグランカナリア島北部ラスパルマスを訪ねると、町外れのひっそりとした地域に移民を収容する施設があった。付近の路地を歩くと黒人の若者に次々と出くわす。
「これを見てくれ」。約1カ月前、西アフリカの小国ガンビアから友人らと移民船で渡ってきたオスマンさん(16)が左腕の深い傷痕を見せた。「だいぶ治ったが、荒波で船が激しく揺れ...
残り745文字(全文:1045文字)