
アルコールフリーのたれを使ったウナギのかば焼き(鯉平提供)
世界各国で食されているウナギ料理。日本ではかば焼きが多いが、たれの原料になる酒やみりんにはアルコールが含まれ、イスラム圏など海外への輸出が制限されているのが現状だ。「どんな人にも、歴史と伝統の味を楽しんでほしい」。さいたま市にある1897年創業の川魚卸問屋「鯉平」は、そうした思いを胸に、アルコールフリーの新たなたれの開発に挑んでいる。
きっかけは2023年6月、東京都内で開かれた、食料品の海外輸出を目指す企業の展示会に参加したことだった。
「アルコールが入っていないたれはないか」。参加した鯉平の社員にそう持ちかけたのは、東南アジアや中東の業者だった。イスラム教ではアルコールが一般的に「ハラー...
残り703文字(全文:1003文字)