
イスラエルによる攻撃激化を受けてパレスチナ自治区ガザ北部から南部に退避する住民=9月16日(ゲッティ=共同)
パレスチナ自治区ガザでの戦闘は10月で2年と長期化している。ガザを実効支配してきたイスラム組織ハマスのイスラエル奇襲が戦闘の始まりだったが、根底には自らの土地を追われたとのユダヤ、アラブ人双方の思いが横たわる。欧州列強の過去の外交政策も背景だ。世界史上「最大の難問」とも呼ばれる紛争の背景をあらためて振り返る。
▽喪失
パレスチナ地域には紀元前10世紀ごろ、ヘブライ人(後のユダヤ人)の王国が成立。他国の侵略が繰り返されてユダヤ人意識が生じてくる。それを疎んだ古代ローマに追放され、世界各地に離散した。欧州では差別を受けるようになる。
7世紀のイスラム教成立後、パレスチナの住民の主体はアラブ人とな...
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