繁殖期なのだろうか。鳥たちの鳴き声が盛んに聞こえてくる。「チュンチュン」というスズメや「カーカー」のカラス以外にも、さまざまな声が響く

▼わが家の周りにも、そんなに多くの種が生息しているのだろうか。ふと疑問が湧き、犬と散歩する折に小さな双眼鏡を手にして出かけた。野生の鳥についての知識は甚だ心もとない。にわかもいいところだが、気分だけはバードウオッチャーである

▼木の上から「ピーピッピッピ」と、にぎやかな声がした。声の主はスズメより一回りか二回り大きく、全体的に灰褐色の姿。帰宅して図鑑を開くとヒヨドリらしい。身近な鳥の一種だが、恥ずかしながら、あんな姿をしていると初めて知った

▼別の日には黄色い羽の小鳥が飛び去っていった。慌てて目で追い、電線に止まったところを双眼鏡越しに眺める。羽と尾の一部が鮮やかな黄色をしている。図鑑で確認するとカワラヒワと呼ぶようだ。これもさほど珍しい種ではないらしいが、気をつけて見ていなければスズメと区別できなかった

▼「見えないと始まらない。見ようとしないと始まらない」。ガリレオ・ガリレイのものと伝えられる、こんな言葉を思い出す。目に入っていたとしても、それが何か認識していなければ見ていないに等しい

▼土地の魅力も、人の持ち味も、ただ視界に入れるだけでは見えてこないものがあるはずだ。見る側にこそ、しっかりと見て理解しようという姿勢が求められるのではないか。鳥たちが教えてくれた。

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