袴田巌さんの国家賠償請求訴訟の提訴後、記者会見する小川秀世弁護団長(中央)ら=9日午後、静岡市
 袴田巌さんの国家賠償請求訴訟の提訴後、記者会見する小川秀世弁護団長(中央)ら=9日午後、静岡市
 近年の主な再審無罪事件と国賠訴訟

 1966年の静岡県一家4人殺害事件の犯人とされ、長年死刑囚として過ごした後、再審無罪となった袴田巌さん(89)が9日、警察や検察、裁判所の責任を問う国家賠償請求訴訟を起こした。再審判決で証拠捏造が認定されたが、専門家は「再審無罪なら、国賠でも必ず勝訴できるとは限らない。特に裁判所の責任認定のハードルは極めて高い」と指摘。論点は多岐にわたり、審理の長期化も懸念される。

 ▽異例

 「刑事裁判で無罪となっても、この事件は本当に何も終わっていない」。静岡地裁への提訴後、記者会見を開いた小川秀世弁護団長は訴えた。

 昨年9月の再審判決は、事件から約1年2カ月後、みそタンクから見つかった5点の衣類など三つの...

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