コック川の水を引いて野菜を栽培する農家の女性=10月13日、タイ・チェンライ(共同)
 コック川の水を引いて野菜を栽培する農家の女性=10月13日、タイ・チェンライ(共同)
 実った稲穂の横で濁った用水路の水を見つめる農家の女性たち=10月13日、タイ・チェンライ(共同)
 コック川を背に取材に応じる漁師たち=10月13日、タイ・チェンライ(共同)

 タイ北部の河川に上流のミャンマーから汚染水が流入し、漁業や農業に従事する流域住民の生活を脅かしている。レアアース(希土類)などの採掘が原因とされるが、ミャンマー側は内戦状態で中央の統治が及ばない。採掘の実態把握や中止要請が難しく、深刻な事態への対応にタイ側は苦慮している。

 「濁った用水路の水が元に戻らない」。10月中旬、稲穂が実る北部チェンライ県の田んぼの横で農家のナタナーさん(68)が不安な表情を浮かべた。ミャンマーから流れ込むコック川から水を引くが、乾期終盤の今年初旬に川の濁りが消えず、当局の取水検査で基準値を超えるヒ素などの有害物質が検出された。汚染の疑いで魚やエビの価格が下落し、コメ...

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